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気がかりというのでもないが [記憶]

このところ少し雪の嵩が増してきた。
夜半に窓から見ると断熱ガラス越しに美しい白い世界が
街灯に照らされて光っている。
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冬は緑がなくなってさすがに淋しいのだが
それはそれで枯れたなりの美しさがある。
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そして、
これは冷え切った朝の自動車のボディに咲いた
雪の花。
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美しい造形美。
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気がかりというのは、
この日常とは全く関係のないこと。

2020年に地震・噴火が頻発していた鹿児島県の吐噶喇(トカラ)列島、諏訪之瀬島のこと。

私がもうすぐ19歳になるという1971年の暮れの事。
新宿西口で出会った JIN、RIE・アパッチたちと11/28に東京を出発。
ヒッチハイクで鹿児島へ向かった。
12/6 12:00に鹿児島市天文館通喫茶「コロネット」で再会を約束し
ばらばらに旅は続いた。
携帯電話も無くただただ、その時間にそこへ行けば会えると信じて。
そして、薩摩白波の香りとともに再会した僕らはさらなる仲間と
JINの実家がある志布志の浜に行き数日過ごしてから
やがて鹿児島市内に戻ってきた。
宿は「コミューヌ・ハウス」<臥蛇荘>部屋は雑魚寝。
みなで自炊。宿代はあったようななかったような。
宿主に付いて鹿児島港まで魚(天然色の美しい)をもらいに行ったり
市場でくず野菜をもらってきたりもした。
JIN・アパッチ・ピエロ・無弦・GAISO・仙人・RIE・JIN兄・・・ニックネームしか知らない
気のいい仲間たちがいた。
12/20 アパッチ・KATUMI・絵描き(三十日修)・パスカル・そしてワッコン(牛島史江)と
自分の6人で鹿児島大学医学部のコンクリート打ちの日雇いバイトに。日給2,000円。
仕事が終わるとバイト代を手にして、ワッコンと大塚君はパンやロープなど買い物をして
夜の10時に「としま丸」で諏訪之瀬島に戻って行った。
その島では「部族」の仲間がコミューン生活をしているという。
作物がよく育ち、村人とも力仕事などで協力できているという話であった。
一瞬に近い出会いであったが意気投合した。
半年いられたら作物も1クール。家も建つので最低半年目安で島にきませんかとオルグされた。
結局、連絡船に乗ることもなく帰札したので、
それから、全く縁はないのだが
去年は頻繁に諏訪之瀬島の地震や噴火のニュースを見聞きして
あの人たちはどうしているんだろうかと思い出す。
市内で逗留した「臥蛇荘」は様々な人が寝泊まりしていた。
路地の角にはいつも私服が見え隠れしていた。
赤軍の関係者が出入りしているとの情報からだったらしい。
誰が誰やらわからないニックネームだけの世界であった。
上記のほかに、克己・ヤー・尚さん・リュウなどがいた。

12/26(日)昼下がりに鹿児島を出て長距離トラックに乗せてもらって
12/27(月)夜中の1時半に雨の福岡着。無理くり「マット」に泊めてもらう。
こうして志布志の海岸生活とも
「臥蛇荘」の不思議な心地よい毎日とも
吐噶喇列島諏訪之瀬島の憧れとも<さよなら>。
そして、札幌への帰途「広島駅構内」でああ、19歳になったんだと一人誕生日を嚙み締めた。

毎年、暮れの福岡国際マラソンのニュースを見るとこの鹿児島行を思い出すのだが
(と、いうのも、不安のうちに鹿児島に到着したあと西鹿児島駅待合室でパンの耳をかじりながら見たマラソンでウェイン・ショーターが彗星のごとく優勝したからだ。)

でも、去年は頻繁に地震などのニュースを見て、より鮮明に想起させられた。
気がかりというほどではないのだが。
半世紀前の話である。
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そらへい

青春時代の、一瞬だけど忘れられない思い出ですね。
その頃会った人たち、どうしているのかとふと思うことがありますね。
名前やあだ名しか知らなくて、すれ違って行ってしまった人たち。
顔や仕草を覚えているのに、名前さえ定かに思い出せない人もいます。
ずいぶんたくさんの人たちとすれ違ってきました。
思い出せるのは、その瞬間に何らかの交流があったからでしょうね。
良い思いでも悪い思い出も。

by そらへい (2021-01-16 20:40) 

JUNKO

窓ガラス越しの世界は美しいです。
by JUNKO (2021-01-16 20:40) 

engrid

ふと思い出される記憶が、何かをきっかけに次々と結びついて、その時の心の動きまでも、、そして今の自分を省みて、ざわめく思いも、懐かしく恥ずかしいようなこともいろいろに、積み重なって今があるのかなと、、
by engrid (2021-01-16 22:55) 

よしあき・ギャラリー

美しいです!
雪国の特権ですね。
by よしあき・ギャラリー (2021-01-17 05:38) 

sigedonn

>そらへいさん、そうなんです。
その時はしっかり結び目がありました。
書きたいことも書けないことも。
全部思い出です。
by sigedonn (2021-01-17 08:45) 

sigedonn

>JUNKOさん、あの、カーテンを少し寄せて覗く
外の様子。
美しくもあり、ぶるっとも来ます。
吹雪も美しい。
by sigedonn (2021-01-17 08:46) 

sigedonn

>engridさん、
もうずいぶん年を重ねてきて
気の抜けたソーダ水のような自分も
時折、グラスの底からツーっと気泡が上がってきます。
by sigedonn (2021-01-17 13:15) 

sigedonn

>よしあきさん、そこですね。
前向きに楽しみたいものです。
ここにいないと出会えない景色です。
by sigedonn (2021-01-17 13:17) 

Inatimy

見た目は枯れていても、木々の内側ではちゃんと準備をしていて
春になると芽吹いてくる姿はエネルギッシュですよね^^。
休む時には休む、ってことを教えてくれるような気がしてます。
雪の花、なんて綺麗な。
子供の頃、リフトに乗ってる間、ウェアに落ちた雪の結晶をじーっと眺めていた覚えがあります。
by Inatimy (2021-01-18 17:54) 

sigedonn

>Inatimyさん、こんばんは。そちらは、お昼過ぎでしょうか。
>休む時には休む、
いいですね。確かにそうです。山々が一斉に葉を出す姿は、
どれほどのエネルギーなのか。
雪の結晶は見飽きることがありません。
by sigedonn (2021-01-18 21:01) 

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